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2008年6月16日

『アムステルダム』

なんと、庭でカニを発見した。10センチぐらいはあったから、向こうから容易にこちらの視界へ入ってきた。川から上がってきて、ここへまぎれ込んでしまったのだろうか。どこへ来てしまったのか、とカニさんは慌てふためいているやもしれず。まあ、自力で道は探しなさい。

週末、イアン・マキューアン著『アムステルダム』(新潮クレスト・ブックス、1999)を読んだ。ちょっと前に彼の『土曜日』を半分ほど読んでいたので、興味があって手に取った。

まずもって翻訳が上手だと思う。翻訳小説にありがちな文体の違和感をほとんど感じない。

3人の元恋人―作曲家と新聞編集長と外務大臣。それぞれの分野で成功を収めた3人が、亡くなった魅惑的な女性が残した写真をもとに交錯する。それぞれの「正義」を主張しながら。そして、3人ともに破滅する。

人物はよく描けている。いかにも、そういう考えをしそうな人々が身近にもいそうな感じがする。結局のところ、トータルで善の人間はいないという現代の病を明らかにしているのかもしれないが、僕はむしろそれがふつうの人間らしくていいのではないかと思った。編集長には共感できないが、外務大臣や作曲家にはちょっと肩入れしたくなる。

それよりもなによりも、みんなの追憶の中でしか出てこないモリー・レインという女性が持つ性向や付き合い方は、男にとっての女友だちとしてひとつの理想である。女性からは共感されないかもしれないが。

あっという間に読めるので、まだ読んでなくて興味ある方はぜひ。ブッカー賞作品。

「マンデリンの本棚」も参照してください。

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