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2008年5月30日

『海に帰る日』

海に帰る日ジョン・バンヴィル著『海に帰る日』(新潮クレスト・ブックス)を読んだ。クレスト・ブックスのシリーズは背表紙を見ていると思わず手に取りたくなってしまう不思議さがあって、今までも何冊か読みかけの小説がある。でも、最後まで読み通したのは今回が初めてだ。

少年時代の淡い恋の思い出と、結婚当時の様子と、妻が亡くなる直前のやり取りと、そして現在の出来事。「今」を基軸にしながら、この4つの時代が無秩序に出現して、交錯しながら物語は進んでいく。違う時間がこうまで入り混じっていると、最初何がなんだかわからない。しかし、記憶は時間軸に忠実に呼び起こされはしないので、渾然一体とした話も、「記憶」という観点からは自然な流れなのかもしれない。

最後の最後になって、ある存在が少年時代にも現在にも関係することがはっきりした。そのことがわかったうえで、もう一度読んでみる価値があるような気がする。

読みながら、ずっと風を感じていた。それから悲しげな海を。原文で読んだら、きっと美しい文体なのだろうと思う。

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