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2007年12月25日

からだは「流れ」でしかない

最近読んだ本のなかで深い感動を覚えたのは、福岡伸一著『生物と無生物とのあいだ』(講談社現代新書)である。

一般向けに書かれてはいるとはいえ、内容はそれなりに難しい。にもかかわらずベストセラーになっているのは、ひとえに著者の構成力と筆力と文体によるものだと思う。細胞の話であり、分子生物学(でいいのかな?)の歴史であり、福岡氏個人の研究の話でもあり、そして根底には深い哲学的問いが貫いている。科学の本でありながら、叙情に富んでいて、まるで良質の小説かエッセイを読んだ後のような、じわりと心に染み入るものがあった。

からだというものが結局は「流れ」であること、からだは常に破壊されながら秩序を保っていること、そこに絶妙な動的な平衡状態が存在すること、そのダイナミズムの前に私たちは跪くしかないこと。福岡さんの語るこうした内容は、まるで仏典のようでもある。しかし、そう感じるのは、おそらく彼が、生命のあり様を鋭く捉えているからだろうと思う。読み進めながら、僕の心はずっと共鳴していた。

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