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2006年12月16日

想像力を欠いた人々…

『海辺のカフカ』(新潮文庫)にこんなくだりがあって、思わずそのページの角を折った。

ただね、僕がそれよりも更にうんざりさせられるのは、想像力を欠いた人々だ。T・S・エリオットの言う〈うつろな人間たち〉だ。その想像力の欠如した部分を、うつろな部分を、無感覚な藁くずで埋めて塞いでいるくせに、自分ではそのことに気づかないで表を歩きまわっている人間だ。そしてその無感覚さを、空疎な言葉を並べて、他人に無理に押しつけようとする人間だ。(上・p. 384)

想像力を欠いた狭量さ、非寛容さ。ひとり歩きするテーゼ、空疎な用語、簒奪された理想、硬直したシステム。僕にとってほんとうに怖いのはそういうものだ。僕はそういうものを心から恐れ憎む。(同・p. 385)

僕が、心をずたずたにされ、激しい憤りを覚えてきたのは、いってみればそういうことに対してだった。人間臭さを感じさせない、まわりの多くの人間たち。こんな世界は破滅すればいいと思った。今は少し僕も成長して、精神的にもちょっとは強くなって、さほど悩んだり苦しんだりしなくなったけど、精神が機械仕掛けで動いているような自分をもたない人間には、今でも激しい嫌悪感を感じる。

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