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2006年9月18日

竹中平蔵の議員辞職に思うこと

竹中平蔵氏が議員辞職することについて、野党をはじめとして批判が出ている。確かに、国会議員として選出された責任を、小泉さんが総理を辞めるからという理由だけで、そんな軽々と放棄していいのかという批判は、それ自体としては正しい。しかし、何事にも文脈がある。大橋巨泉や田嶋陽子のように、偉そうに他人を批判しながら、本人は何もしないまま永田町を去っていくのとは、かなり次元は違うだろうと思う。

新政権誕生とともに政治の世界を去るというのは、アメリカ政府の閣僚やシニア・スタッフのような動きだ。アメリカ政界で、というかホワイトハウスでそうなってしまうのは、立法府と行政府が完全に独立しているからで、元々議員でない閣僚やシニア・スタッフが、ホワイトハウスを去った後、キャピトルヒルに戻るべき場所はない。有能さを買われて、もしくは人脈のなかでたまたま、彼らは人生のほんの一時期、政治の世界に足を突っ込むだけなのだ。それで政治はできるようになっているのである。

議院内閣制の日本では、閣僚は基本的に国会議員である。従来の自民党政治システムにおいては、大臣になるような人間は、一生の仕事として国家議員を選び、その立場を長く維持できた者だった。小泉政権下でかなりその慣習が崩れたとはいえ、顔ぶれの大半は長い間の永田町の住人たちであることに変わりはない(憲法でも規定があるので仕方ない)。基本的に日本では、政治の玄人が閣僚になるのだ。

竹中氏が経済諮問会議を仕切っている頃、亀井静香氏がこんなことを言っていたのをよく覚えている。「学者先生に何がわかるか」と。僕はこれが不思議でならなかった。バブル崩壊前から、亀井氏は議員であった。しかも実力者だった。何かしようと思えばできた。しかし、そういう人たちが無策だったから、もしくは意味のない政策をやったから、結局仕方なく竹中さんに出番が与えられたのだ。「じゃあ、権力があったくせに、あなたは何を一体してきたのか」と僕は問いたかった。ともあれ、亀井氏の言葉からは、政治の玄人としての面子が透けて見える。

そういう背景を考えると、竹中さんは仕方なく議員になったのではないだろうか。そのほうが仕事がしやすい、ということだけではなかったろうか(自民党としては、参院選の目玉として竹中票に頼ることができるという計算があった)。別になりたくてなったわけではないから、何の未練もなく辞めますよ、となる。

ふつうまず議員があって大臣があるのだが、この人の場合、大臣がまずあって、そのあとで議員がついてきた。大臣で権限を持ってやりたいことを遂行するのはダイナミックで楽しいが、一議員として議場に座って賛成・反対のボタンを押したり、地味に委員会で質問したりすることに、おそらく何の魅力も感じていないのだろうと思う。だったら政治の外でもっと面白いことやるよと。彼にとってみれば、国会議員という立場はきっとそれぐらいのものなのだ。

職業政治家、つまりその地位にとどまることに命を懸けている多くの先生方にとってみれば、自分たちがばかにされているような気分かもしれない。しかし、竹中辞職の是非はともかく、他の議員も、彼と同じように潔く政治の舞台から身を引いて、喜んで他の仕事に就けるような人間であるかどうか問うたほうがよい。バッジを外しても、魅力ある人間であるかどうか、有能な人間であるかどうか。本当は、議員の立場にしがらみのない人こそ政治に携わるべきで、しがみついていたい人間は早く追い払うべきだ。

有権者の立場からすれば、4年もの年月を残しての辞職は許せないというのもわかる。去るなら任期を全うしてからにすべきではないか、というのはもっともな意見だ。「立候補したのは、方便であり手段でしかありませんでした」といったところで、納得できない人も多かろう。僕も、一期の任期満了まではやるべきじゃないかと思う。しかし、彼の立場に立ってみれば、5年間連続で大臣をやった後に、4年間おそらく重要な立場を与えられずに、しかも無意味に縛られて生きるのは、あまりにも勿体ないとも思う。どこに価値を置くかで生き方は違ってくるだろうが、元来が職業政治家でないのだから、そのつまらない地位に甘んじていたくないというのは仕方ないのではないだろうか。

二世・三世と世襲議員が多いなか、竹中氏をみていると、人生のほんの一時期だけ永田町で過ごすという生き方もあっていい、もっと多くの有能な人がそういう生き方を選択してほしいと思う。

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