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2006年2月10日

「男系」は智慧の表れでは?

皇室典範改正案の今国会提出、政府が見送り方針

紀子様ご懐妊の報は、「絶妙なタイミング」と形容したくなるようなものだった。表現が適当かどうかわからないが、昨今の皇室典範改正の動きについて、秋篠宮ご夫妻はある種の「使命感」ともいうべき「危機感」を持たれていたのではないだろうか。そんなこととはまったく関係ない自然の賜りものかもしれないが、改正に反対の立場の僕としては、そう思いたくなってしまう。

ご懐妊をうけ、永田町は一気に改正慎重論へと傾き、ついに今国会での法案提出見送りとなった。もちろん男のお子さまができるかもしれないという期待からだ。裏返すと、改正論者といっても結局、男系男子を維持できたらそのほうが良いという考えを抱いている人がほとんどだった、ということだ。

小泉さんがなぜそんなに急ごうとしていたのか、本当によくわからない。愛子様が就学の年齢に近づいているから、天皇になるという意識をもって帝王学を学んでもらうためには、今のうちに皇室典範を変えておかなければいけない、ということを首相は言っていた。しかしそれは、たいした問題ではないのではないだろうか? 皇室という想像もできないほど別次元の環境にいるのだから、そこで育つだけで、すでに一般国民とは感覚や思考はまったく違ってくるだろうと思われるからだ。また、その延長上にしか、天皇像もないだろうと思う。そもそも今の陛下の代からは、かなり自由な教育を受けてこられたという。

天皇は歴史上ほとんど実権を持たなかったが、支配体系の形式的中心であり続けた。これを男系に限ってきたからこそ、重要で危険な地位にも関わらず、連綿と血はつながってきたのではないだろうか。女系でもよいということであれば、選択肢が一挙に増加してしまい、それだけ抗争も増え、天皇家を取り巻く政治環境はもっと不安定だったろうと思う。だから、男系に限定することは、天皇家とその周辺のひとつの智慧ではなかったかと思いたくなる。もちろん、それで万世一系の秘密がすべて語られるわけではないが、限定しかつそれを維持することで正統性が高められてきたのではないだろうか。そして、正統性が高まれば高まるほど、それに対抗することが難しくなっていったのではないだろうか。そして何より、男系で万世一系を保ち統治の象徴とすることが、政治を実質的に担ってきた人たちの智慧ではなかっただろうか。天皇は、現憲法下において初めて象徴となったのではない。

2000年以上せっかく無理して維持してきたのだから、できるところまでそれを続けていったらいいではないか。「もう男系男子で継承者が誰もいなくなった」という状況になってからでも、改正は遅くない。またそのときには、いろんな智慧が湧いてくると思う。しかし、もしこれで今度のお子さまが男子でなければ、そのときは今まで以上に改正論者の主張は強まるだろうな……。

まずは、改正見送りの方針を決めた政府は、常識的な判断をしたと思う。

<補足>
最初、タイトルを「男系男子は~」としていたが、歴史的には男系女子もいるので、一応「男系は~」に変更した。しかし、実質的に皇位継承の対象となってきたのは男系男子だし、現皇室典範も男系男子しか認めていない。それに、男系女子は男系の血筋の人と結婚しない限り、子孫は一転して女系になってしまう。ゆえに、男系と書いても、それはほぼ男系男子のことだと理解してもらって差し支えない。

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コメント

TBありがとうございました。

> しかし、もしこれで今度のお子さまが男子でなければ、そのときは今まで以上に改正論者の主張は強まるだろうな……。

僕もそんな事態になることを危惧しています。
世界でも稀で千年以上続いている伝統が切れてしまう危機感よりも、「雅子様が可哀想」みたいな安い感情論で女系を支持する人が想像以上に多い現実では、避けられないような気が。
優しいというか、単純というか…。

投稿: luchino001 | 2006年2月10日 23:49

luchinoさん、どうも。

テレビつけたら、コメンテーターが適当なこと言ってました。マスメディアの横暴は本当に嫌になります。

でも、おっしゃるとおり、感情論で物事は進むでしょうね。報道番組を見ていたら、むなしくなりました。

投稿: マンデリン | 2006年2月11日 23:26

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